鈍行
▼からかうように慰めた
「雷蔵! 遊びに行こうぜー!」
「うん、ちょっと待ってて! 今、荷物片付けてくるからー!」
雷蔵たちはこの春、三年に上がった。彼らの関係は全く変わらず、相変わらず元気に転がるように遊んでいる。――表面上は。
しかし、その頃から雷蔵は、同級生たちとは次第に以前と同じように熱中して遊ぶことができなくなっていた。
持っていた荷物を部屋に片付けるという名目で一度部屋に戻った雷蔵は、そのまま戸を閉めて心張り棒を掛けて上着を開くと、更に肌小袖も脱いでその肌を露わにした。実技の授業もあった所為でさらしは少し緩んで来ている。雷蔵はそれを一度全て外してから、改めて手拭いを置き直してさらしを巻き直した。面倒だが、こうしておかねば遊んでいる最中に緩まないとも限らない。今や誰が見ても立派に育ったと言うであろう己の乳房を見下ろして、雷蔵は溜め息を吐いた。
「……こんなに要らないんだけどなあ、本当」
しっかりとさらしを巻き直し、雷蔵は小さく溜め息を吐いた。最近は強い力で締め上げないと胸の形が出てしまうため、どうしても骨を圧迫する形になる。身体にも悪いと分かってはいるものの、他にどうすることもできずに雷蔵はひたすらさらしを絞っていた。どうにかして別の方法を考えないと実技中に倒れるんじゃないかと思いながら、彼女は再び身支度を整えて立ち上がる。
日増しに女らしく成長していくこの身体は、雷蔵にとっては悩みの種だ。もし今も実家に居たのならばこれ幸いとばかりに嫁がされていたのだろうか、などと下らないことを考えながら、雷蔵は己を待つ級友たちに混ざるため、再び部屋を後にしたのだった。
「雷蔵、遅えぞー!」
「ごめんごめん! 片付ける時にまた迷っちゃってさー」
「またかよ〜! もう、雷蔵の迷い癖は本当に致命的だな!」
先に遊んでいた同級生たちに混じりながら、雷蔵はこの時ばかりは己の迷い癖に感謝していた。自分が多少不自然に席を外していても、「迷っていた」の一言で皆納得してしまう。悪癖も使いようだ、と雷蔵は溜め息を噛み殺しながら考え、その考えを頭の奥へ押しやるといつもの笑顔で駆け回る彼らの中に混じった。――そんな彼女の様子を、そっと眺めている人物の存在には気付かぬまま。
「……雷蔵、今日皆で遊ぶ時に遅れてきたのって」
「ああ、うん。……さらし、緩んじゃって。荷物置きに来る振りして、巻き直してたんだ。慣れたといってもやっぱり時間掛かっちゃって」
「そうか」
風呂からも上がり、今から寝ようという状況で問いかけられた言葉に雷蔵は苦笑した。
今になってその問いを口にしたのは、彼なりに気を遣ったのだろう。他愛もないことならばその場で追及したがる性質の三郎を、雷蔵はよく知っていたので。三郎は自分が分からないことを追究するのに貪欲だ。知的好奇心が旺盛だと言えば聞こえが良いが、要するに分からないことが嫌なのだろう。
今も緩くさらしを巻いて形を抑えている胸を見下ろしてから、雷蔵はふと思い立って三郎に向き直った。真っ直ぐに彼を見て、問い掛ける。
「ね、三郎。こうして対面して、今僕の体形は男の子と同じに見える?」
「なっ……い、いきなり何を聞くんだ……!」
「大事なことだから、答えて。――三郎にしか聞けないんだもん」
雷蔵の身体つきは日増しに豊満さを増していく。ほぼ毎日――それこそ、寝起きの一番無防備な姿でさえも目にする三郎にとって、その質問はある意味禁忌に等しかった。次第に柔らかさと丸みを帯びて行く身体に、彼がどれほど苦悩しているかを雷蔵は知らない。露骨な視線を向けないようにするだけでも一苦労の三郎に、今の雷蔵の問いは拷問と同義だった。
「だからって……!」
「大切なことなんだよ、三郎。――今だって、緩くだけどさらし巻いてるんだ。それでも、やっぱり分かっちゃう?」
三郎はどこか潤んだ瞳で己を見詰める雷蔵に欲情しそうになるのを必死に抑えながら、珍しく耳や首筋を真っ赤に染めて半ば自棄になりながら荒々しく頷いた。そんな三郎の微妙な感情の機微など彼女にはさっぱり理解できぬようで、雷蔵は真剣な顔で三郎を見詰めていた。
「――やっぱり、ちょっとは分かるよ。布団かぶってしまえば分からないし、ぱっと見ただけじゃ気付かないけど。傍でまじまじ見たら、分かる」
「……そっか」
雷蔵はその言葉に少し困ったような顔をして頷いただけで、それ以上は何も言わなかった。けれど、その表情は暗く、彼女の白い手がその胸元に触れている。その仕草に何となく彼女の悩みの根深さを見たような気がして、柄にもなく三郎は言葉に詰まった。そして、ふとこの間学園長に問われたことを思い出す。
「……雷蔵、もし、なんだけど」
「何?」
「――忍術学園に、くのいち教室、ができるとしたら……?」
三郎の言葉に雷蔵は困惑したように瞬きを繰り返した。くのいち、と聞いて思い出すのは、『忍たまの友』で習った女性を使う忍の技。そこから女性の忍のことを「くのいち」というようになったのではないか、と教師が講義していたのは少し前の話だ。それがどうして今ここで出てくるのか分からず、雷蔵は思わず三郎を見詰めていた。
「……これはまだ確定じゃないんだが、学園長先生の孫娘が忍になりたいと思っているらしい。で、学園長先生はくのいちを育成する施設をこの忍術学園に併設しようと考えていらっしゃる、のだと思う」
「……どういうこと?」
「うん……私はほら、学級委員長だろう? 学級委員長委員会は顧問が学園長先生で、その関係で私たちは学園長先生の話相手になることが多いんだ。それでこの間もお茶のお相手をしていたら、学園に女子部を併設するとなればどういう弊害が起こるかなどを問われてさ。……多分、学園長先生は本気なんじゃないかと思う」
考え考え話す三郎に、雷蔵はどうして良いか分からなくなった。
くのいち教室、という言葉が表わすのは、今までしてきた苦労が要らなくなるということ。しかし、それは雷蔵にとって喜びよりも困惑と、若干の怒りを覚えさせた。唇を噛んで険しい表情を浮かべる雷蔵に、三郎は困惑して彼女に問う。
「雷蔵、何故そんな顔をする? くのいち教室ができれば、その……君だって、今みたいな苦労はしなくなっていいんじゃないのか?」
「そういう問題じゃないよ。――僕、くのいち教室になんて行きたくない」
「だけど……」
「――三郎、ごめん。僕、今日はもう寝るね。
今の話なんだけどさ、まだ確定じゃないんでしょ? 本当にくのいち教室ができることになったら、また考えることにするから」
雷蔵は珍しく三郎との会話を切り捨てた。頭がこんがらがってまともな思考ができなかったこともある。けれど、それ以上に雷蔵は己をまだ受け入れきれずにいた。
――初潮が始まり、胸が膨らみ、身体つきが丸みを帯びてゆく。女子となっていく身体と、忍として生きたい心。その根本がどこから生まれているかも分からぬまま、雷蔵はそんな彼女の態度に困惑して声をかけようとする三郎を遮断するように頭まですっぽりと布団を被って小さくなった。
その翌日、三郎と少しぎくしゃくしたまま雷蔵は授業に出ることになった。
彼が自分のことを心配して言ってくれているのは分かっているし、自分もくのいち教室ができるとなればそちらに編入した方が良いのは分かっている。けれど、どうしてかその判断を素直に受け入れられず、雷蔵はいつの間にか癖のようになった溜め息を吐いた。
今日は教科の授業だが、ちらちらと三郎の視線が雷蔵へと向けられることもあり、どうも集中できない。他の級友たちは前に並べられた鎧や甲冑に目を奪われていることもあり、雷蔵は己が女だからそういったものに興味が持てないのかと己の異質さを感じ、また溜め息を吐いた。
「――では、不破! ちょっと前に来なさい」
「は、はいっ!」
講義をしていた担任に突然指名されて雷蔵は驚く。裏返りそうになる声を抑えて立ち上がると、彼はちょいと雷蔵を手招きした。直前の話を聞いていなかった雷蔵は羨ましそうに己を見詰める級友たちの視線に戸惑いながら、呼ばれるがままに教壇の前へと立った。
「お前たちはもう、忍者が鎖帷子を常に着ているなんてことが間違いだってことは知ってるな?
――じゃあ、不破。お前、ちょっとこの鎖帷子着てみてくれ。本来は服の中に着るものだが、脱ぐのも面倒だしそのままで被って構わないから」
「あ、はい」
何が何だか分からないまま、雷蔵は頭からすっぽりと鎖帷子を被る。ずしりと肩に重いそれは、確かに着ているだけで動きを阻害するようだ。重さに耐えかねた雷蔵が帷子を摘まんで持ち上げると、教師はからからと笑った。
「不破、鎖帷子を着けた感想はどうだ?」
「え? えっと、とても重たいです。確かに、こんなの着てたらまともに動けないと思います」
「だろう? 勿論、きちんと鍛えた人間なら着てても機敏に動くことはできるだろう。だが、我々忍は俊敏さが命だ。それに……ま、こんなものが服の合わせから覗いてたら、目立つからな。不破、もう脱いで良いぞ」
ぽん、と背中を叩かれて、雷蔵はよろめいた。視線が思わず下に向き、そこで気付く。――胴全体を包む鎖帷子は、見事に雷蔵の体形を隠していた。確かに重さはあるものの、それは素材や鎖の大きさで変えられる。雷蔵は己の頭をよぎった閃きに、人知れず拳を握ったのだった。
「――雷蔵、何だそれは……?」
「ん? 見ての通り、鎖帷子」
「いや、それは分かってる。何でそれがここにあるのか聞いてるんだ。予習でもするのか?」
長屋に戻ってきた三郎を迎えたのは、鎖帷子を前にあれこれやっている雷蔵の姿。忍たまである彼らにとって鎖帷子はほとんど無用の長物であり、何故それを雷蔵が持っているのか、三郎は理解できずに首を傾げた。
その間も雷蔵は鎖帷子の裾近くに細い帯のようなものを回し、引いたりしながら何かを調整している。しばらくそれを続け、ようやく満足したらしく、三郎に向かって顔を上げた。
「何のためにって、そりゃ勿論着けるんだよ」
「着けるって……何のために。後は夕飯食って寝るだけだろ? それとも、夜間授業でもあるのか?」
「あったらやだなあ……でも、別にそういうんじゃないんだ」
雷蔵は三郎の問いに笑いながら答え、一度上着を脱ぐと鎖帷子を肌小袖の上に着込んだ。ずしりと肩に掛かる重みに顔をしかめながら、くびれのあたりで先程鎖帷子に通した帯を結ぶ。それで少しは負担が軽減されたようで、雷蔵は溜め息を吐いた。
「――やっぱり重いなあ……これでも一番軽いのを吉野先生に見繕ってもらったんだけど」
「そりゃ当たり前だろう、鉄の塊なんだから。そんなもの着てどうするつもりだ?」
「身体を、鍛えようと思って」
三郎はその答えを聞いて目を丸くした。普段の彼には珍しい表情に、雷蔵は笑う。
「僕はほら、そんなにすばしっこい方ではないでしょう? だから、力を強くしようと思って。ずっと色々考えていたんだけど、今日の授業で鎖帷子を着て思い付いたんだ。毎日これくらいの負荷があれば、絶対に力が付くでしょう?」
そう言いながら笑う雷蔵の表情を見て、三郎はどこかぞっとする。その表情は普段と同じように笑っているはずなのだが、どこか昏くらい。そんな彼女を見たくなくて、三郎は雷蔵の肩を強く掴んで囁いた。
「雷蔵……今日、また学園長先生に探りを入れてきた。――あの話、本格的に動かすようだ」
三郎の言葉に雷蔵はびくりと身体を竦ませる。一瞬にして表情を固くした雷蔵に、三郎は噛んで含めるように続けた。
「くのいち教室に編入しろ、雷蔵。――それがお前のためだ。
男の中に居れば、どうしたって力も体格もこれから絶対見劣りしてくる。本来ならばしなくて良い苦労を今までだって散々してきたろう? 女子は女子の中に居る方が安全だし、自然だ」
「……三郎は、僕が足手まといだと思ってるんだ?」
しかし、三郎の真摯な言葉に返るのは冷えた瞳だった。大きなどんぐり眼が三郎をじっと見つめる。それに三郎が言葉に詰まると、彼女は三郎が隠している浅ましい望みすらも暴くような強さで三郎を射竦めた。
「――僕、くのいち教室には行かないよ。今まで忍たまとしてやってきた。これからも忍たまで居たいから」
「雷蔵……!」
「三郎が僕のこと、心配してくれてるのは分かるよ。でも、僕は行かない。――行きたくないんだ」
雷蔵はずっしりと肩に掛かる重さに、己の胸の内に湧く何か重苦しい気持ちが重なるような気がして思わず己の胸元を掴んだ。
――三郎の言いたいことは分かる。今だって日増しに女子らしくなる身体つきに苦労しているのだ。年頃になればその変化はもっと顕著になるだろうし、実際に力でも体格でも同級生たちから置いていかれる日が来るのだろう。くのいち教室に行く方が絶対に賢いし、楽だ。けれど、雷蔵は何故かその提案に頷くことができなかった。
理由は分からない。だが、もう二年以上過ごしたこの長屋や学び舎を離れるなんて考えたくもなかったのだ。
「……僕、三郎に心配されないくらい強くなるよ。だからお願い、追い出そうとしないで」
雷蔵の言葉に三郎は返す言葉がないようだった。まじまじと彼女の顔を見詰めた後、彼は小さく溜め息を吐く。丹念に手入れしている鬘をむしるように頭を掻いた後、三郎は何も言わずに布団に潜り込んだ。雷蔵は隣で頭まですっぽり布団を被って山を作る三郎を見詰めた後、着ていた鎖帷子を脱いで、寝巻きへ着替えた。
緩くとは言え、さらしで固めているはずの胸は誰が見ても分かるほど膨らんできている。もう、たださらしで抑えただけでは通用しない。三郎には身体を鍛えるため、と伝えていたが、雷蔵が実際に目論むのは体形――特に胸を隠すことだった。鎖帷子を着込んでいれば、触れられても丸みを帯びた身体に気付かれることはない。更に多少身体つきが丸く見えても、鎖帷子の所為で着膨れていると言ってしまえば通用するはずだ。
雷蔵は先程脱いだ鎖帷子を抱き締めて、小さく溜め息を吐いた。――自分でもどうして「忍たま」に執着しているのか分からない。故に三郎が己を案じて掛けてくれる言葉にも、きちんとした言葉が返せないのだ。それで三郎は雷蔵が何故己を危険にさらしてまで、この場に留まりたがるのか理解できず苛立つのだろう。
(そりゃそうだよね)
誰だって己の気遣いを何の理由もなく叩き返されたら、苛立つだろうし怒りもするだろう。雷蔵だってきっと、同じことを三郎にされたら怒るはずだ。何より、まるで自分を大事にしてないように思える。――だが、それでも何故かこれだけは譲れないと思ったのだ。
「……ごめんね、三郎。心配してくれて、有難う」
布団の山にそっと手を添えて、小さく囁く。ふと、己が困った時にいつも掛けてくれる、三郎の〈からかい〉という被衣かづきをまとった慰めを思い出して、雷蔵は口の端に笑みを灯した。一年の頃、雷蔵が女だと知る前から三郎は何だかんだと雷蔵を助けてくれている。そっけない態度で、けれどいつも彼が優しいことを雷蔵は知っていた。
学年一の優等生で問題児、成績でも悪戯でも抜きん出ているためか、三郎を取っ付き難いと言う人間も多い。雷蔵も何度か三郎の傍に居て、顔をずっと使われていて疲れないか、と尋ねられた。あるいは、面と向かって三郎と付き合うには実力不足だ、と嫌味を言われたこともある。けれど、雷蔵はそんな周囲の反応を知っていても、三郎の傍を離れたいと思ったことは一度もない。そんな心ない言葉を聞いても雷蔵は、ただ三郎の隣に立ちたくてその背中をひたすら追い続けてきたのだ。その意味も、理由にもまだ気付かぬまま、雷蔵は口を開く。
「三郎が僕を大切に思ってくれるように、僕もお前が大切だし、大好きだよ。――心配かけてごめんね」
雷蔵は隣に出来た小山に頭をこつりとぶつけ、小さく囁いた。布団にこもったところで、神経過敏な気質の三郎が寝ていないことなど百も承知だ。それを知り、更に矜持の高い三郎が一度そのような子どもっぽい態度を取ればどんな言葉を掛けても反応しないことを逆手にとっての己の行動に、雷蔵は自分もまた計算高いと自嘲した。
「お休み、三郎。また明日ね」
最後にそれだけ囁いて、雷蔵は自分もまた布団に入って眠りに付いた。生来の大雑把な気質が起因してか、雷蔵は不眠ということがない。逆に床を延べた場所以外でも簡単に眠れてしまうくらいだ。元々大勢の人間と――それも寝像の悪い幼子たちと眠っていたのだ、神経が細くてはやっていけない。特に静かな三郎と一緒の時は、ほんの僅かな間に眠りに落ちてしまう。
ずっと布団を被っていた三郎は、雷蔵が発する安定した寝息を確認した後にもぞもぞと布団から顔を出した。その顔は常と変らぬ雷蔵のものを写しているが、髪から覗く耳は真っ赤に染まっている。ちらりと隣を見遣れば、全く無防備な姿で眠っている雷蔵が視界に入った。
「……だから、私はくのいち教室に行けと言うんだ……」
いくら信頼しているからと言え、男の前でこんなに無防備に寝る雷蔵を三郎が案じぬはずがない。これからは実技も難しくなるし、場合によっては二、三日は軽く掛かるような実習も出てくるだろう。そして、その時確実に己が傍に居られるとは限らないのだ。もし、彼女と離れていた時に何かあれば、三郎は悔やんでも悔やみきれないだろう。
雷蔵が忍たまとしてこの場に残りたいと言うのなら、三郎のこの思いはただの我欲に過ぎない。けれども、彼女の気持ちを無視しても安全な場所に隠しておきたいと願うほど、三郎は恋の闇へと溺れていた。
――どれが最善か判断も付けることができないまま、二人はただ己の気持ちを相手に押し付け合うだけ。一番傍に居ても、彼らはひどく遠かった。
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「最後の約束」より【記憶の中で】――『からかうように慰めた』
鈍行*2008.08.06〜 Written by 緋緒