鈍行
▼最低小平太
「いや……!」
いつの間にかブレザーが剥ぎ取られ、ワイシャツがたくし上げられている。服の裾から這い入った熱い手のひらは滝の身体を撫で、胸を掴む。この行為の背景にある感情とは裏腹に、その手つきはひどく優しく、それ故に滝は身体の震えを抑えきれなかった。
(いっそ乱暴であれば、全てを拒否できるのに……!)
自分を膝に乗せて下着も何もかもたくし上げて胸を掴む小平太に、滝はただ身じろぎした。声などとうに出るわけがない。第一、大声で叫んだとしても、既に最終下校時刻間近の校舎の端だ。職員室は反対側で、助けなど来るわけもない。
胸を優しく揉み上げられ、滝は身体を震わせた。同意の上ではないはずなのに、恋い慕った男だからか、身体はなぜか反応する。自分の身体が正直に男を迎え入れていくことに、滝は眩暈がする思いだった。
「――滝、可愛い」
初めは胸を遊んでいた手が、するりと太ももへと移動する。スカートの裾から入り込んだ手は、先程から膝を割り入れられて開かれている彼女の秘部へと容易く忍び込んだ。
全く無造作に差し入れられた手に滝は一瞬反応できずに固まる。けれど、続いて与えられた刺激に滝は声にならない悲鳴を上げた。
下着の上から撫でられているだけなのに、身体がしびれるような快楽がある。それはこの男がこの手のことに慣れているからか、それとも自分がおかしいのか、滝にはもう判断がつかなかった。
次第に核心へと近付いていく指の動きに、滝は何とか逃げ出したいと身じろぎする。しかし、両の手を滝の乳房と秘部へ伸ばしているわりに、滝の身体を拘束している小平太の身体はびくともしなかった。
「いや……!」
「いやじゃないでしょう、こんなに濡れてきてる」
そんなことあるはずがない、と滝はいっそ叫びたかった。この愛情の欠片もない行為で己が感じるはずがないと。けれど、実際に彼女の身体は既に男を受け入れる準備を始めており、小平太の与える刺激に確かに彼女は反応していた。
「滝、駄目だよ。こんなんじゃ足りない。私はもっと欲しいんだ」
指が下着の中へと入り込み、滝を責め立てる。いっそ殺して欲しいとすら滝が思うほどに、小平太の指は巧みに彼女を追い立てた。もう頭の中は何も考えられなくなっている。小平太の指が花芯を弾いた瞬間に身体が跳ねる。思わず上げた悲鳴に小平太が気持ち良さそうに唸った。
「可愛い」
指が更に過敏な場所へと進む。男を知らぬ身体が、淫靡に紅く染まってゆく。その過程を小平太は楽しみながら、力なく己へと身体を預け始めた滝を抱き締める。
濡れた下着は既に用を為しておらず、自分の与える快楽に震える身体は甘く薫る。時折抵抗して己の服を掴む弱い腕が、小平太の欲を誘った。
「ああ、まだ足りない。私をもっと満足させておくれ」
傲慢に小平太は滝の身体を貪った。濡れそぼった下着を剥ぎ取り、己にもたれかかっていた身体を前へと倒した。既に己の手によって準備を終えたその場所はぬるりと光を反射しており、小平太を満足させる。彼は己の準備を手早く済ますと、無意識に涙を零していやいやと首を振る少女の秘部へと己をあてがった。
「――滝、まだ私から逃げられると思っているの?」
何とか前へ這おうとする少女の身体を引き戻し、小平太はいささか乱暴とも言える調子で彼女の身体を引き裂いた。滝の喉から声にならない悲鳴が上がり、その背がしなるように跳ねた。けれど、小平太はその身体の抵抗を抑えて更に突き進む。
(この身体は男を誘うものだなあ)
自分で暴いておきながら、小平太はそんな理不尽なことを考えた。苦痛に縮こまる身体を抱き寄せ、柔い頬を伝う涙をべろりと舐める。それはしょっぱいはずなのに、なぜだか甘い味がした。
(ああ、でもこれで)
「――滝は、私のもの、だね」
小平太は己の膝の上に再び戻った少女の身体を抱き締めて、欲の赴くままに突き上げた。
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鈍行*2008.08.06〜 Written by 緋緒